回想録1 回想録2
ミネアポリスで最高の夜を過ごした翌朝。
アメリカ滞在7日目にしてまだ時差ボケは持続中。
夜中に帰ってきて寝てるのに早朝5時くらいには目が覚めてそこからなかなか眠れない。

熟睡中のアメリカ組を起こさないよう忍び足でバルコニーへ。
庭の木々ではリスが巣作り真っ最中。
今日は初めてのオフ日なのでとにかくゆっくりして体調を整えることに決めた。
洗濯したり、ギターを弾いたり、昼寝をしたり。
ほとんど家から出ることはなかったが、あっという間に一日が過ぎた。
翌日は次の目的地、ウィスコンシン州ラクロスへ。
の前に、散歩がてら近所のミネハハの滝を見に。

冬にはこのままの状態で凍りつくらしいよ!
そして2日間お世話になった家に別れを告げ、再びミシシッピ川を越えラクロスへ。

この日の会場は the Root Note!
the Root Noteの至る所や近所のレコード店などそこかしこで 「from Japan!」 と告知宣伝してくれてる!

the Root Noteはすごく清潔で綺麗なオーガニックカフェ。
ステージも雛段みたいなのがあっていい感じ。
ただこの日は日曜日で、地元の人の話によると大都市と違ってここは日曜は人もまばららしい。
たしかにこのあたりは中心地っぽいのに通りにも人も車も少なかった。
田舎なんで翌日に備えて夜もあまり出歩かないとのこと。
それでも告知を見に来てくれた人や、たまたまカフェに訪れて興味持ってくれた人たちが集まってくれた。
たしかに今までの町とは人の気質も違うみたいで、ものすごくシャイな人が多いように感じた。
それでもライブ後は照れながら声をかけてくれたり、がんばって日本語で話をしてくれたりして嬉しかったな。
お店のスタッフの人もとても親切でいろいろとサービスをしてくれた。感謝。
その上、泊まる場所の決まってない俺らを今日初めて会ったのに泊めてくれるという。

そして連れて来てもらったのがこの洋館。
築100年だか120年だかくらいの家との噂。
いろんな意味ですごかった。
長らく人の生活感を感じない凄さがあった。
ただほんとに身も知らずの人間に雨風しのがせてくれたことに感謝。

人懐っこいこの猫がおそらくここの主。
そして夜が明け、次の目的地、ペンシルバニア州ピッツバーグへ!
の前に昨日のthe Root Noteに早めのランチへと通りを歩いてたら
ビューティーサロンの人に呼びとめられる。
何が何だかよくわからないが、衣装と楽器を持ってきてほしいとのこと。

どうやら昨夜のライブの話を聞いてくれたらしいが、わけがわからないうちにこんな感じで
とる子さんもメイクされ、そのあと俺もメイクされ…

こんな感じでキャバレー的なお店で本格的な撮影会に参加することになりました。
詳しいことは結局わからず終いなのだが、何でも何かの賞をとったらしく、ラクロスのPRのための撮影だったようだ。
そんなんに俺ら参加していいの(笑)!?
とりあえず、遠い遠い町のPR写真に俺らが登場してるかもしれません。
そんなこんなで予定が大きくズレて再出発。
ラクロスからピッツバーグまでは750マイル (約1,200km)。
そこそこ急いでも半日はかかる距離。
そんなわけで、シカゴを少し越えたあたりの名も知らぬ町で一泊することに。
とうとう来た……

アメリカ映画で定番の安モーテル!!
主人公が逃亡の途中で身を隠すアレだ。
『パルプフィクション』 でブルース・ウィルスが大混乱してたアレだ。
レイ・リオッタが出てた 『アイデンティティー』 の方がスリリングだったか。
とにかくホントに安い。
受付は完全防備。
タオルを借りに行ったけど、当然ドアは開けてくれないし、受付窓の下にある2cmくらいの隙間からバスタオルを出された(笑)。
完全にホコリ拭き取ってしもてるやん!
そんな感じで勝手にスリルを感じながら、とりあえず腹ごしらえに近所にひとつしかないアイリッシュパブへ。
外は車が通るくらいでひと気はないのに、これがまた店内は賑わってるのだ。
本当にアメリカ人はバーやパブが好きだな。
お酒も好きだし、何より人とのコミュニケーションを大切にしてるんだろうな。
だから店が流行る。
みんなが気軽に日々楽しめて、それが実はミュージシャンが生きていける環境にも繋がっているのだ。
そう、俺らはこの感じを日本でも広げていきたいと思い模索してる。

そして、事件が起こることもなく平和に朝を迎えた(笑)。

早速出発し、途中オハイオ州に入ったあたりの静かな田舎町で遅めのモーニング。
トーストにマッシュポテトに… 目玉焼きが4つ(笑)。
ロッキーじゃあるまいし、コレステロールの過剰摂取だろうと思いながらも、
ジェイムスが残した分も合わせて5つたいらげてしまった。

そして夕方にピッツバーグに到着。
ここは元々鉄鋼業の町として栄えた場所。
名作 『ディア・ハンター』 の舞台はこのピッツバーグ郊外の町。
映画でもそうだったが、たしかにアメリカの他の町よりヨーロッパ色が強い気がする。
ま、ヨーロッパには行ったことないんだけど。
そして肝心のライブは…
ライブ云々の前にイベント自体が非常に残念な状態だった。
どこの国でもそうだが責任の所在がハッキリしないものほど困るものはない。
せっかく素敵な町なのに本当に残念だった。
高まった意気込みのやりどころのないまま、全員沈んだ気持ちで宿を探すことに。
で、入ったのがこれまたすごく安いのに高級感ある素敵なホテルだった。
身も心も疲弊しかけていたので今日は本当にありがたい。
しかも朝食付き!
それを見たとる子さん、人が変わったようにテンションMAX。

そんなわけで、コンチネンタル・ブレックファースト。
何故かジェイムスとCiciに大ウケされる俺。
「Mr.Kobayashi」 と命名される。
アメリカで有名なフードファイターね。
ホットドッグの早食いとかで有名なコニーアイランドはNYなんでニューヨーカーには有名らしい。
ま… それくらい大食いで早いんです、俺。
そして次に向かうはフィラデルフィア!
同じペンシルバニア州だから、そんなに時間はかからないのかと思いきや…
車で5時間くらいかかるらしい。
ペンシルバニア… 広大。

フィラデルフィアは大きな町で賑わっているがどこか下町感もあり幾分穏やかな印象を受けた。
とりあえず町に入るや否や、ロッキーが毎回ジョギングの最後に飛び跳ねる例の場所を見つけた瞬間、俺は単なる観光客と化しはしゃいでしまった。

この日の会場はLickety Splitというライブバー。
19時くらいに入ったらもう既に満員で賑わっていた。
しかし自分たちの出番は22時半くらい。
他の出演者のライブを味わいつつビールを飲みながら待機。
その間にもどんどん押していく時間。
ひとつ前のサザンロックバンドがやたら長い。
どれだけ演奏がよくてもマナーも守れないミュージシャンの音楽は響かないよな。
案の定、さっきまでライブを楽しんでたお客さんもほとんどステージを見ていない。
時間も23時を過ぎ、帰っていくお客さんも…
ようやく自分らの出番が来た頃にはもう日が変わろうかという時間だった。
それでも残ってくれた人たちは演奏が始まると同時にくぎづけで見てくれていた。
この日は短いセットだったのであっという間に終わってしまったが、遅くまで残ってくれた方々に感謝。
それと同時にまた今夜も少し残念な気持ちを抱いたまま一日を終えなければならなかった。
しかもこの日がロードツアー最後の日。
前日のこともあったし、実は昼間にCiciがプライベートなことで悲しむことがあったから良い夜にしたいと思い、どれだけ意気込んでいたか。
悔しい気持ちのままニューヨークへと戻らなければならなくなった。
それと同時にこれから始まるニューヨークでの日々を本当に充実したものにしようと心に誓い、激しい雷雨の中帰途につくのであった。
回想録4へ