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2017年12月16日 (土)

覇者たちが求めた奈良の香りと身の毛もよだつ神事

朝、珈琲を飲みながらふと思った。

織田信長はそもそも天下を取ろうと思っていたのではなく、蘭奢待をすべて我が物にしたかっただけだったが、結果的に国取りになってしまった━━━

みたいな物語はおもしろいのではないか、と。

 

蘭奢待(らんじゃたい) とは奈良の東大寺正倉院に収蔵されている香木。
天下第一の名香とされ、足利義満、足利義政、織田信長、明治天皇など数々の力ある人物たちが求め、その正倉院の蘭奢待を実際に切り取っているらしい。
つまり、権力者に重宝された逸品というわけだ。

 

ちなみに、蘭奢待という名はその中に 「東・大・寺」 の三文字を隠し持った雅名である。

 

そんな風に 「こんな物語はおもしろいんじゃないかなぁ…」 と空想することがときどきある。
しかし、自分では書こうとは思わない。
物を書くこと自体は嫌いではないし、むしろ病的なほど欲はある。
しかし、作品として完成させようというほどの熱意には至らないのだ。

ひとつはそんな文才はないという自覚があること。
今こうしているように、ただ乱文を書き殴って自己満足に浸って終わる程度が関の山だ。

 

あとは、あくまで創作とはいえ、信長に関して、蘭奢待に関して、それらを詳しく調べて学び直さないといけないし、また時代考証なども徹底的にしなければならない。
おもしろい作品というものはそういったしっかりとした土台の上でこそ成り立つものだ。

もちろん、興味はあるから軽く調べたりすることはやぶさかではないし、これまでも好んでそういった映画を観たり、本を読んだりはしてきた。

しかし、物語を書くに耐えるほどの情報を得て執筆しようと思うほどの情熱には至らないのだ。

 

これがたとえば音楽ならば…

 

たとえば、スペインの偉大なる音楽家 ファリャ のとある作品に感銘を受けたとする。
こんな世界観を持った音楽を自分も表現したい! と思ってしまったなら、まず様々な情報を得るための努力を自分は惜しまないだろう。
それがたとえ果てしない旅路であったとしても。

他の作品も聴き漁り、背景を調べ、彼が生まれ育ったアンダルシアの音楽に回帰したのだと知ったならば、今度はそれを調べ、少しでも体得したいと思ったなら習いに行くかもしれない。

今、作りたいと思ったものが10年かかるな、とわかったなら10年かけようと思うだろう。

実際にこれまでもそういう音楽との付き合い方をしてきている。

 

つまり、その情熱を持てるかどうか、なんだな。

 

もちろん、そこまで大層に考えなくても良いかもしれない。
事実、すべてに対してそういうわけではない。

たが、小説であれ、音楽であれ、映画であれ———
それは単なるエンターテイメントだとしても、素晴らしい作品、おもしろい作品というものは必ず豊かでしっかりとした土壌の上に生まれている。
深い背景があり、有益な情報がふんだんに詰まっていて、それを知らない人たちの心にも訴える力をもつ。

そして、それはその人が生み出すものに否応なく滲み出てしまうものだ。

要は、上っ面だけをなぞっただけのものや、安易に拝借しただけ(パクった)ものはおもしろくないし、できる限りそういうものにならないように努めたいというだけの話だ。

 

というわけで

蘭奢待を巡る超大作はどなたか才ある方に任せるとして…

 

実物の蘭奢待は一度拝んでみたいものだな、とは思っている。
そういう背景を知れば正倉院展のあのすさまじい行列に並ぶ気にもなろうかというものだ。
(実際には平日の遅めの時間にいけばスムーズに、しかも少し安く入れたりするから地元の人間は楽に味わえたりするんだけどね。)

と思い調べてみたら… 2011年に出陳されてたんだ!
じゃまた巡り巡ってそろそろお目見えするかな……
楽しみにしていよう。

 

そんな奈良は昨日から おん祭り が始まっている。
おん祭りとは880年もの間、一度も途切れることなく執り行われてきた春日大社の祭礼。
正確には春日大社の摂社、若宮神社の祭祀で、「春日若宮おん祭り」 という名称だ。
 
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おん祭り とは 御祭り であり
そもそも、お祭りという語源そのものである、と何かで読んだ覚えがあるのだが、ちょっと正誤は定かではない。

とにかく奈良市最大の祭りで、12月15日から18日まで開催されており、小学生の頃はおん祭りがある平日は半休になった。(…ような気がする。)
しかし、当時は時代行列や稚児行列みたいなのを見ながら屋台を冷やかすのが楽しみで、祭礼などという認識はなかった。

音楽の道に足を踏み入れてから、三大楽所のひとつであり、春日大社に深い所縁ある南都楽所で笛を教えてもらうようになり、おん祭りの意味合いなどにも興味を持つようにはなった。
しかし様々タイミングが合わず、長らく体験したいと思いながら未だその機会に恵まれていない行事がいくつもある。

17日に一日中行われる御旅所祭は何度か目にしたことがある。
若宮に芸能を奉納するおん祭の中心となる神事で、諸々芸能発祥の地でもある奈良らしく、猿楽(能)、神楽、舞楽、そして相撲などが奉納される。

ちなみに、お旅所は一の鳥居と二の鳥居の間の参道沿い、あのムクロジの木の近くに設置される。
 
Img_8307_2  
  
 
そして一度味わってみたいと思いながら未だ体験できていないのが
17日午前0時より始まる遷幸の儀である。

そう、まさに今夜これから始まるのだ。

 

若宮様を若宮神社本殿からお旅所のお仮殿へお遷しする儀式で、まず松明やお香を持った人が先行して道を清め、続いて若宮様を囲んだ奉仕者が絶え間なく 「をーをーをー」 と声を上げながら進む。
更に楽人たちが慶雲楽を奏でてお供をする。
古来から 「身も毛もよだつ」 と称されたような厳かな神事なのである。(二条良基 『さかき葉の日記』 より

映像でしか見たことはないのだが、まさに神妙で幻想的な祭祀だった。

この遷幸の儀と、17日の昼から夜にかけて今度は逆にお旅所から本殿へ帰られる還幸の儀の間は照明や撮影は禁じられている。
現代的なものにその崇高さを乱されない古来から続くその景色。

一度はしっかり予定を立てて体感してみたいとは思っている。
 
 
Img_5366
 
 
何はともあれ、18日の午後にお旅所で行われる奉納相撲・能・狂言までおん祭りは続く。
今年は何とかひとつだけでも久々に味わいに行ってみようかな。

 

そんな神妙な空気が充満している冬の奈良でのワンマンは来年2月。
またまた三連休の初日なので、是非この季節の奈良観光も兼ねて楽しみに来て下さい。

 

■2月10日(土) 奈良 ブルーノートならまち
 
NolenNiu-de-Ossi ワンマン

開場15:00 開演16:00
前売2000円 (Drink別)

 
ご予約はコチラ
 

Bluenote210 
 
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さて、NolenNiu-de-Ossiワンマンクリスマススペシャルは一週間後!
年内最後のライブ、絶対楽しい夜になるのでどうぞお楽しみに。
  
 
Dingdong
 
■12月24日(日) 大阪 雲州堂

NolenNiu-de-Ossiワンマン
クリスマス・スペシャル
『ディンドン・デ・オッシ』

 開場18:00 開演19:00
 終演21:15予定
 前売2500円 当日3000円 (Drink等別)

 
ご予約はコチラ

 
 

そして、『まさかの扉』は終了しましたが、年明け1月には再びHEAVEN青山にてこのイベント!
 

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■1月27日(土) 東京 HEAVEN青山
 
柴草玲×NolenNiu-de-Ossi×ミーワムーラ
『エデンのもうちょい東』 Season2

開場19:00 開演19:30
前売3000円 当日3500円 (1Drink別)

 
ご予約はコチラ

 
 

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