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2018年6月17日 (日)

伝わらない音楽

相変わらず自宅ではレコードばかり聴いている。
CDをかけるのは、この便利なご時世だからか、少なからず面倒を感じることは否めないのだが、なぜかより手間のかかるはずのアナログレコードに面倒は感じない。

ドーナツ型の黒い盤をプレイヤーに乗せ、針を落とし、回り始めるのを眺める。
今日はこれを聴こう、というワクワク感の方が勝るのだ。
いくらなんでも言いすぎかもしれないけれど、楽しみにしていたライブに行く感覚に少し近いような気もする。
少なくともCDを聴く際や、ましてやタッチパネルで選択して流れ出すものよりは、その体感はどこか相通ずるものがあるように思う。

 

いつも言っていることだが、音楽そのものを楽しむのに、またそこに感動を覚える理由に、音響・音質の良し悪しは関係ないと思っている。
正直なところ、基本的にはアナログレコードでもmp3でも何でもOKだ。

数年前にレコードプレイヤーを買ってアナログレコードを聴こうと思ったのは、自分の生活の中に音楽を取り戻したかったからだ。
音楽を生業にしていて、四六時中音楽に携わっているにもかかわらず、じっくり音楽を楽しむという時間を失っていることに危惧を覚えたのだ。
いや、何か寂しさや虚しさを感じたのかもしれない。

PCやスマホは実に便利で楽なツールであり、日常的に活用はしているのだが、もはや楽しむためのものではなかった。
かつてあんなにワクワクしたCDを聴く行為すらももはや心を震わすことはなくなった。
それはきっと、より便利で楽なものに勝る要因がなかったのだろう。

だから、より手間をかけて、音楽を奏でるツールと対峙しなければならない面倒なものに “逆に” 惹かれたのだろう。
いや、惹かれたというより、要したというほうが適切かもしれない。

 

それが、実際にレコードを楽しみ始めるとその音自体に感動を覚えることばかりになった。
むしろ、自分たちが育ってきた音環境はなんと豊かさに欠けるものだったんだろう、とさえ思えてしまうほどだった。
そのあたりは先月にも書いたので コチラ にて。

 

先日、642PIZZAでの演奏の際に露店を出していた 奈良の Pleased to meet me で購入したこの四枚。

 

Img_7786

THE BAND 『Music From Big Pink』
The Allman Brothers Band 1st
The Allman Brothers Band 『Brothers and Sisters』
Led Zeppelin 『Ⅲ』

これまでに長らく愛聴してきたものばかりだ。
THE BAND と LED ZEP に至ってはCDでも紙ジャケ盤やらリマスターやらがよく出たから何枚も買ってきた。
それをまたレコードで買おうというのだから、もう単純に音を楽しんでみようという気持ちしかない。

 

しかし、大きいジャケットはいい。

 

Img_7804

 

Img_7803

 

開けると、おなじみのこのファミリーの集合写真。
昔、憧れたんだよなぁ…

このサイズで見ると感動だな。
CD世代の自分にとっては本当に興奮するサイズだ。

 

それから、これらを聴くのを楽しみに時間を作って、プレイヤーにかけていた。

まぁ、やはり音の質感はレコードの方が好きだ。
かといって、もう耳慣れてはいるし、何も声高に叫ぶほどの感動や極端な差を感じるわけではない。
ただ針に溝を削られながら回っている盤から音が流れるということに納得をしているだけだった。

 

今朝も寝起きから作業をしながら THE BAND『Music From Big Pink』  をかけて聴いていた。

 
 

A面最後の 『The Weight』 が終わり、盤を裏返す。
曲が流れだすまでしばらく待つ、この間がまたいい。
『We Can Talk』 が始まる。
この曲、好きだったんだよな。
昔、携帯CDプレイヤーで聴いていた際の車窓からの風景をふと思い出したりしていた。

 

そして曲は変わっていき、作業に集中しているうちにいつの間にか 『Chest Fever』 になっていた。

 
 

思わず手が止まった。

 
 

あれ… かっこいい…

 
 

実を言うと、この曲は昔からあまり好きな曲ではなかった。
自分にとって THE BAND というのは、どんなことでもすべて受け入れたくなるほどの教祖のような存在であったのだが、それでも何曲かは好みではないものもある。
この 『Chest Fever』 がそのひとつだった。

 

はずなのだが…

 

まず、「!?」 と思ったのはリック・ダンコのベースの音だった。

いや、もう音だけではない。
躍動感が知っているものと違う気がする。

そして、耳に飛び込んできたロビー・ロバートソンのギターの音。
確実にテレキャスターであろう痺れるグッド・サウンドだ。

こんなにかっこ良かったっけ??

 

これは何なんだろうか!?

 

ここからはもう鑑賞ではない。
確認、探究の時間だ。

 

CDを出してきて、同じステレオ・スピーカーで流す。

 

Img_7923

 

CDから流れてきたのは、やはりさほど好きではない 『Chest Fever』 だった。
よくよく聴いてみると、たしかにこの曲のリックのベースが魅力的だったことはCDでも確認できた。
しかし、レコードを聴いていなければ一生この曲に魅力を感じずに俺は死んでいたかもしれない。

 
 

ロビーのギター・サウンドに関してはもはや驚愕すべきことだった。

CDではテレキャスターのイメージが浮かばないのだ。
もちろん、つい今しがたレコードで聴いてわかったから、そうだろうという耳で聴くことはできるが
さっき 「なんてかっこいいテレキャスターの音なんだ」 って痺れたほどの音がそこから聞こえてこないのだ。

 

もちろん、これは “意識が高まって” “耳が研ぎ澄まされた” からこそ判別できるもので
今はとてつもなく大きな差に感じられているが、実際はほんのわずかな差で、普段何気なく流している際はそんなことはどうでも良いくらいのものかもしれない。

 

しかし、俺は “あまり好きではなかった曲”“すごくかっこいい曲” だと思えたこと、その曲の真実の姿を知れたことに心から感動した。

 
 

それと同時に、怖ろしさを感じた。

 
 

演奏や出している音はひとつの真実しかない。
しかし、それが誰かの耳に届く際には大きな差が生じるわけだ。
もしかしたら、その曲が “嫌いになるか好きになるか” というほどの差を生むかもしれないのだ。

実際に自分がそうだったのだ。
初めてこの曲を聴いてからウン十年、自分の中で正直好きじゃない曲だったのだ。
それを今、音の違いで一気に感じ方が変わったのだ。
それを証拠に、レコードだから面倒なのに、すでに何度か針を落とし直してこの曲だけ聴いている。

 

ここで大事なのは “音の違いがわかるかどうか” などという理屈っぽい話ではないのだ。
一応ここでは自分の感動を説明するために書いてはみたが、そんなことはどうでもいい。
作業に集中していた手が止まるほど、耳に、心に響いてきたものがあるということだ。

 

しかも、好きではなかった曲からだ。

 

これは音楽人である自分とって、興奮と同時にあらためて深く考えさせられる事案である。

 

だって、THE BANDは1967年の末にまぎれもなく素晴らしい音楽を生み出していたのだ。
その真実は間違いがないのに、それを俺はずっと心に響かない音で耳にしていた。

良いか悪いか、ではないのかもしれない。
“適切な音” で届けなければ、あるいは自分たちの想いとはまったく異なるものが伝わる可能性が十二分にあるということだ。

 

それは音源だけでなく、生のライブ音響でも言える。
むしろ、その機会の方が多いのでそちらの方が主となるだろう。

 

自分たちのライブを終えてその日を振り返った際に、いろいろと反省することなどは当然ある。
良くも悪くも嫌でも自分たちが一番よくわかってるんだから、次に繋げるために、改善していくために言葉に出すことはあるだろう。

演奏が良くなかった。
声の調子が良くなかった。
うまく噛み合わなかった。

それはもう実にわかりやすい事例だ。
むしろそこは明言する必要がないくらい、それぞれの身に沁みている。
なので、その時に出る会話は、これから次に向けて何をすべきか、というものになる。

 

あと、時折とる子が口にするのが、音の話だ。

“これでは伝わるものも伝わらない”
そういった意味である。
 
 

それは自分たちの出す音でもあり、ライブ会場の音響についての場合もある。

 

もちろん、その言いたいことはよくわかっていたつもりだったが、今朝のことでものすごく腑に落ちた。
頭でも感情でもわかっていたつもりだったが、身に沁みてわかった。

耳の良し悪しは一概に言えるものではなく、何に対して耳が良いか、というのは様々あるのだが
ある面においては、確実に自分よりとる子の方がはるかに耳が良いな、と感じることがしばしばある。

それは間違いなく音の話ではあるのだが、実は “耳” ではなく、“耳” を通して触れられる何か、というものなんだろうと思う。

 

ライブにおいては様々な状況があり、よほどの地位があり環境があり予算がある場合でない限りは、そうそう納得のいくような最高の音環境というのは求められない。
しかし、それは何もシステムや機材のクオリティだけの問題ではないのだ。
自分たちと会場の空間、そして担当してくれる方の気持ちだけでも、その場での最高を引き出すことは可能なのである。
逆にいえば、高価な凄まじいシステムでも使う人間によってはいくらでも最悪な音環境にしてしまうことは大いにあり得るということだ。

 

そういう意味もすべて含めて 「ひどい音だった」 ということは残念ながらある。
自分たちの至らない点も大いに含めて、良くなかったと省みる日はある。

自分たちの努力だけでは改善の余地が期待できないところは、自然と足は遠ざかる。
やはり、何かしら “音が良い” と感じられるところへは当然心がますます向いていく。

なぜなら、“伝えたいものが伝えられる” ことを期待できるからだ。

 

最近は特に、なんとなく自然にそういう流れにはなっていっているように思う。

 

午前中のほんのわずかな時間ではあったが、何か大切なことを心で確認できたような気がする。

“音を良くしましょう” なんて、一番大切なことにもかかわらず、そう簡単な話ではないのが悩ましいところだが、これからますます貪欲に捉えていきたい事項である。

 

せっかく聴きに来てくれるんだから、良い時間を過ごしてもらいたいのは当たり前のことだからね。

 
 

さて、そんな魅力のアナログレコードも発売したNolenNiu-de-Ossi。

 

Jacketotogibanashi

 

ライブ会場で販売中なのでご興味持ってもらえた方は是非。
詳細はコチラ

 
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 小林未郁×NolenNiu-de-Ossi
 『どこかの世界で待ち合わせ』

 
■6月22日(金) 高松 RUFFHOUSE

 ≫ ご予約・詳細
■6月23日(土) 広島 ヲルガン座

 ≫ ご予約・詳細
■6月24日(日) 大阪 雲州堂

 ≫ ご予約・詳細
■7月27日(金) 名古屋 BLUEFROG

 ≫ ご予約・詳細
■7月29日(日) 東京高田馬場 天窓.comfort

 ≫ ご予約・詳細
 
【特設サイト】

PC
スマホ
 

 

━━━━━━━━━ お知らせ ━━━━━━━━━
 
7/16(月祝)に予定されていた642PIZZAでの流し素麺イベントですが
諸事情により中止となりました。
ご予定してくれていた皆さん、申し訳ありません。

 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

次回の奈良でのスペシャルなライブはコチラ!

盟友・阿部一成との特別編成です。
 

Photo

■7月20日(金) ぷろぼの食堂 Fellow Ship店
かずなり☆デ・オッシの『奈良でもあんギャ!』 

 開演19:30
 (お店は17:00より夜の部通常営業)
 終演21:30予定
 ライブチャージ 2000円 (飲食代別途)
  ※ ご注文をお願いします
 出演:NolenNiu-de-Ossi,阿部一成

ご予約は ≫コチラ≪ にて 

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Newadventure

和楽器とパーカッションに弓や水道管まで!
他にはない楽しい組み合わせでおなじみの「りょうとつばさの不思議な冒険」に
三味線やアコーディオンも飛び出す「変幻自在のからくり音楽」のノレンニゥー・デ・オッシも加わって

もっと不思議な大冒険のはじまりはじまり!

■8月11日(土) 奈良 にこちゃん堂
『りょうとつばさとデ・オッシの不思議な冒険』

 開場16:00 開演16:30
 終演19:30予定
 前売3000円(1Drink付き)
 出演:渡辺亮,堀つばさ
    NolenNiu-de-Ossi

ご予約は ≫コチラ≪ にて

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◆ NolenNiu-de-Ossi スケジュール ◆
 
6月22日(金) 高松 RUFFHOUSE
6月23日(土) 広島 ヲルガン座
6月24日(日) 大阪 雲州堂
 
7月19日(木) 奈良 天河大辨財天社(天河神社)
7月20日(金) 奈良 ぷろぼの食堂
7月27日(金) 名古屋 BLUEFROG
7月28日(土) 浜松 Shot Bar 201
7月29日(日) 東京高田馬場 天窓.comfort
 
8月11日(土祝) 奈良 にこちゃん堂
8月18日(土) 京都 RAG
8月23日(木) 大阪 雲州堂
 
詳しくは Website にて

 

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