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2018年9月11日 (火)

大和郡山探訪~城下町と遊郭に興奮する町歩き 【後編】

さて、昨日の続きと参ろうぞ。

奈良市のお隣、大和郡山市を眼下に望む郡山城をあとにし、向かったのはその城下町。
観光資源としての立派な城が残っているわけでもないので何か賑やかなものが現存するわけではない。

 

だが、それがいい。

 

町歩きの大いなる希望と可能性を秘めているということだ。

隠されれば隠されるほどに、失われていれば失われているほどに…

 
 
 

すごく興奮してきた。

 
 
 

城跡との境界線にもなっている先述の踏切を越え、町に出るとまず市役所が見える。
その正面あたりから南へ柳町商店街という筋が四丁に渡り続いている。

かつては長らく賑わい繁栄した通りであることは想像に難くないが、今は良い感じで寂れている。

 

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その入り口の角にあるのが本家菊屋
歴史の重みを感じる佇まい。

奈良では昔から有名で、自分が子供の頃からちょいと大事なご贈答には菊屋さん、だった。
市内各地の古い商店街にもいくつか店舗があったので馴染み深さがある。

店祖である菊屋治兵衛が豊臣秀吉の弟、秀長に連れられ大和の国に来たのが1585年。
秀吉公をもてなすお茶会に何か珍果を作るように命ぜられ献上したのが、粒餡を餅で包みきな粉をまぶしたひとくちサイズの餅菓子。
それを秀吉公がたいそう気に入り「鶯餅」と御銘を賜り、いつの頃からか城之口餅 (しろのくちもち) として有名になった。
店が郡山城の大門を出て町人街の一軒目に位置することから “城の入り口で売っている餅” → “城之口餅” となったそうな。

たしかに美味いので機会があれば是非。

 

商店街は寂れてはいるが、呉服店などが多く、当時の華やかさは伺える。

 

そして、あちらこちらに城下町の風情はさりげなくもしっかりと漂っている。

 

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このあたりは紺屋町といい、藍染を職業とした人が集まった職人町。

 

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この水路は紺屋川と呼ばれ、昔はここで染めあげた布や糸をさらしていたそう。

今でも金魚や亀が放流されている。

 

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そして、その中心となるのがここ 箱本館 「紺屋」

箱本 (はこもと) とは郡山町中の自治組織。
主な任務は治安維持、消火、伝馬(公用のための馬を提供すること)。
その代わりに土地に対する税金を免除されていたらしい。

そんな江戸時代から続いた藍染め商の町家を藍と金魚を楽しめる空間に再生したのがこちら。

箱本館 「紺屋」 Website

ちなみに藍染体験は電話予約制。

 

さて、少し戻って…

500mほどある柳町商店街を三丁目、四丁目と突っ切ると、良い感じの辻が見えてくる。

 

Img_8904

来た道を振り返るとこんな感じ。

 

Img_8906

左に見えたのは郡山八幡宮
由緒は東大寺建立の時代に遡るが、豊臣秀長が築城の際にこの地に遷宮し郡山城累代の産土神とした、とのことだ。

 

さて、商店街を突き抜けた先の辻というのは…

 

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おぉぉおぉぉぉぉ。
 
興奮するなぁ。

 
 

まず左手のこちら。

 

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『大門湯』

その名前からして、城下町の花街の風情を感じる。
露店風呂がとても良いとの噂だ。

 

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そして正面に見えた立派な町家は…

 

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旅館 『花内屋』

ここはちょうど洞泉寺町と東岡町という遊郭、旧赤線地帯に挟まれた場所にあるので、そういった宿かと思ってしまうが、
その造りから見てもどうやら普通の旅館、つまり旅籠 (はたご) だったようだ。

 

Img_8900

虫籠窓も素晴らしい。

 

さて、この辻から左方面へ少し戻ったあたりが洞泉寺遊郭
右奥へ進めば東岡遊郭だ。

 

まずは洞泉寺町の遊郭界隈へ行ってみよう。

 

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当時の風情を偲ばせるものがある。

 

そして、非常にわかりにくい細い辻を曲がると…

 

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まるで “密かに隠されているような” 角に一件の立派なお屋敷が見えてくる。

 

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登録有形文化財 「旧川本家住宅」
大正11年から13年に建てられた、当時では珍しい木造三階建の町家建築。

元々は遊郭として一世を風靡したが、赤線が廃止された昭和33年に廃業。
その後は下宿となっていたという。

 

近年はHANARARTという町家の芸術祭などで使われていたのは目にしていたのだが…

 

Img_8865

今年の1月10日から 「町家物語館」 として生まれ変わり、一般公開を開始していたのだ。

 

上流花街の格式高い遊郭の中を見れるなんて!

 
 

興奮。

 
 

もちろん、すべてを見せてもらえることはないだろうが、一階部分だけでも見れるなら嬉しい…

 

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と思って、入ったら…

ヱェーーっ!? 三階までほとんど全域見せてもらえるの!?

 

Img_8870

 

すごい…

 

Img_8871

 

すごい、すごい…

 

Img_8874

 

すごいーーーーーッッ!!

 

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しかも、また俺一人やん!!

 

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遊郭、一人占め!

 

Img_8878

 

大階段!!

 
 

と、複雑で重厚な構造の内部に興奮し、当時の様子を妄想しながら悦楽の境地に浸っていたら…

職員さんに声をかけられた。

 

いや、誰もおらへんと思ったら靴があったんで…

と三階まで探しに来て下さったらしい。

 

自分も三階に来たあたりで薄々気がついてはいたのだが…

 
 

どうやら冒頭から順路を間違え、受付あたりをすっ飛ばしていたようだ。

 

入場は無料だし、全然問題ないですが、せっかくなら解説しながら案内しましたのに、ということだったので
逆に三階から一階までを解説していただきながら降りることに。

 

これがまた丁寧で詳しく、興味深い話ばかりで、本当にありがたい案内だった。

 

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遊女の部屋は東側を中心に三畳か+α程度の広さのものが並んでいる。
そこで仕事も、それ以外の時間の生活もしていたようだ。

 

Img_8877

表からも見えたように、一階から三階まで窓には格子がはめられているわけだが、各階の格子の幅は異なっている。

 

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当時、実際に使われていた箪笥。
遊女の茶碗などをしまっておくものだったようで、名前が書かれている。

 
 

一気にリアルさが増す…

 

Img_8879

 

一階では当時から使われていた便所や風呂、洗面台なども見れる。

便所と言えば、大正時代であるにもかかわらず、客をわざわざ一階まで行かせることのないよう、三階の奥にも男便所が作られている。
すごい…

 

Img_8878_2

先ほどの大階段はその三階と二階をつなぐ階段。
格式の高い人だけ、ここから上へ遊女を連れて上がったのでは、とのことだ。

 

当時の家主の住居スペースのみ立ち入ることはできなかったが、そこへ向かう別ルートの構造などとてもおもしろかった。

家屋の中心部は広い宴会座敷のようなものが各階にある。
一階部分は特に家主が客を招くときなどに使ったようで、中庭と外庭を見渡せる十二畳ほどの座敷があった。

解説していただいてよくわかったが、窓・柱・梁・サン・サッシに至るまで細部に相当なこだわりと贅を尽くしたものが施されている。

 

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雪見窓も横に開く仕組み。

ちなみにこの中庭部分は吹き抜けになっていて上階でも味わうことができる。

 
Img_8868
 
 

旧川本家住宅 = 町家物語館

 

もう、絶対に行った方がいい。

遊郭好き、町家好き、歴史的建造物好き、五社英雄好きはもちろん絶対に行くべきだが
そうでない方も興味深く堪能することができると思う。

 

脳内BGMはもちろん、NolenNiu-de-Ossi の 『陽が落ちたら』 ね。

 
 

何なら大和郡山はここだけでも来る価値があると思う。
 
(いや、ついでに城も町も楽しんでね。)

「町家物語館」 Website

 
 

Img_8886

ちなみにこの豪壮な三階建て住居は左右を寺に挟まれている。

 

Img_8887

向かって左は大信寺。

 

Img_8883

 

Img_8885

そこからは遊郭の南側の窓がハートマークであることを確認できる。

 

Img_8890

そして、右側は浄慶寺。

 

Img_8889

東側の遊女の部屋が暗かった理由もよくわかる。

 

ここ大和郡山も当然ながら神社仏閣は山のように存在する。
100mと歩かないうちに2,3のペースで見つけられるだろう。
町家物語館を中心とする300m四方だけでも10以上ある。

 

この洞泉寺町はその名の通り洞泉寺があり、そしてこの界隈で深い信仰を集めてきたであろうお稲荷さんがある。

 

Img_8896

源九郎稲荷神社。
源義経を助けたといわれる源九郎狐伝説で知られるお稲荷さん。
かつては、伏見稲荷、豊川稲荷とならび、日本三大稲荷のひとつとされていたそうな。

 

Img_8897

決して境内も広くはないが、どこかしら由緒正しき重厚な何かを感じる場所である。
市川猿之助さんの快気のお礼らしき何かが書かれていた。

 

四月には白狐面をつけた子供行列が練り歩く春季大祭があるらしい。

 

あ、そうそう、さきほどの遊郭ではひな祭りの時期にあの大階段をフルに使ったひな壇が作られ、遊女の各部屋にもひな壇が飾られるらしいよ。
これは見逃せないでしょう。
川の向こうからひな壇が流れてくるインパクトには負けるけど、結構な見応えだと思う。

 

日本さくら名所100選にも選ばれている郡山城の「お城祭り」もあるし、春の大和郡山はなかなかアツい。

 
 
 

さて

 
 

ひとつの遊郭の界隈だけでこれだけのボリュームになってしまったが、どうする?

 
 

続きはまた明日、とするか。

 
 
 

いや、もう一気にいくんだな、これが。

 
 

洞泉寺遊郭より少しだけ規模が大きかったという東岡遊郭

洞泉寺からお隣の北大工町と南大工町を越えた斜向かいの区画にある。
距離でいえば2~300m、歩いて10分もすれば中心地らしき界隈に辿り着ける。

 

今は住宅地となっているが、一歩中に踏みこんでみると…

 
 

Img_8912

 

明らかにかつての遊郭だろう。

 

Img_8914

 

こちらは解体工事が始まっていた。

もちろん倒壊の恐れなどがあれば放置しておくわけにはいかないだろうけれど…
この先にまた新たに生まれるわけではない、過去の貴重な建築物を何とか残しておくことはできないのだろうか…

もちろんそういった取り組みはされていて、さきほどの 「町家物語館」 として生まれ変わった 「旧川本家住宅」 は実は郡山市が買収して、現代の耐震技術を屈指して補修し、一般公開できるようにしたとのことだ。
それはもう市の英断だったと思う。

 

Img_8920

 

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こちらも放置されて長い年月が経っているようだ。
とても立派な建物なのだが…

 

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そんな中で、こちらの少しモダンな三階建ては、おそらく元遊郭ではあると思うが、近年に改築したのだろうか。
それでも正面はとても重厚で見事な面構えをしている。

 

Img_8918

しかも、貸家!!

 

借りたい!

誰か!?

 
 

などと…
もうあとどれくらいの時間が残されているかは分からない、かつての遊郭の遺構がいくつも点在していた。

 

どれくらいの賑わいだったのだろう。
どんな華やかさだったのだろう。

 

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こちらの料理店も当時は相当繁盛したんだろうな、なんて妄想をする。

 

Img_8922

時代と共にスタイルも変わっていったことが伺える。

 

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100m四方ほどのこの小さな区画を一歩はみ出せば、今でもこんな風景だ。

 
 

当時、ネオンの明かりが届くか届かないかのあたりで、月明かりに照らされた人々はどう思っていたのだろう。

 

この賑わいは永遠に続くものだと思っていたのではないだろうか。

 
 

今、賑わいに満ちた都会の町。
都会ではなくても華やかな場所はいくらでもある。

渋谷や新宿、梅田や心斎橋。

 

丸亀町や今池、千歳町やひろめ市場界隈でもいい。

 
 

「昔はここにも店がいっぱいあって、たくさんの人が買い物や呑みに来てたんやで。」

なんて言う時代が来ることが決してない、なんてことはないんだ。

 
 

永遠に続くような錯覚をしてしまう物事は多い。

永遠なんてないんだ。

 

生命も、存在も、関係性も。

 

だからこそ愛おしい。
だからこそ、気付けたなら大切にしたい。

 
 

こういった、忘れ去られたような過去の遺産を自分で探し当てたくなるのは、そういうことかもしれない。

 

感じるものの質が、深さが違うんだ。

 
 

永遠ではないからこそ、愛おしく想い、しっかりと育みあえることを望む。

 

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