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2018年9月10日 (月)

大和郡山探訪~城下町と遊郭に興奮する町歩き 【前編】

以前にも 夕焼け探しの件 で書いたが、趣味は何かと聞かれたら、返答するのはなかなか難しい。
しかし、「町歩き」 はいつも自分を凄まじく興奮させるひとつであり、それは 「趣味」 と明言しても差し支えないだろう。

 
 

ここしばらくは、三味線を弾いてるかギターを弾いてるか寝てるか呑んでるか、という些か閉塞した日々が続いていたからだろうか。
「ただただ町を歩きたい」 という衝動が突然押し寄せてきた。
たしかに今日は特に決められた予定はない。
だが、仕上げなければいけない曲や仕込みたい曲は山のようにある。
しかし、近隣なら問題はなかろう。

 

というわけで、ギターを置いて町に出ることにした。

 

久々に歩きたかった界隈がある。

 

奈良市のお隣にある大和郡山市だ。

 

市を跨ぐとは言ってもすぐ近くだ。
JR郡山駅はJR奈良駅から一駅。
(5.5kmほどあるので都会の一駅の距離とは異なるが…)
学生時代はチャリでの行動範囲だった。

 

大和郡山市は一般的な視点での「観光」を目的とするにはさほど目を引くものはないかもしれない。
もちろん、飛鳥時代から奈良時代にかけての歴史遺産は枚挙にいとまがない程に点在している。
たとえば、『古事記』編纂の中心人物として有名な稗田阿礼ゆかりの地として、その稗田の環濠集落などは町歩き好きにはたまらない景観である。
しかし、わざわざ遠方から一般観光客が期待し押し寄せるに足り得る豪華な施設などがあるわけではない。
むしろ、何もない。
住民以外はそう通ることはないただの小さな川べりだ。

しかし、自分が思う町歩きの醍醐味 “特に何もない生活空間にこんなすごい歴史遺産がさりげなく存在している” という面においては最上級の興奮を与えてくれる場所なのだ。

 
 

すごく興奮してきた。

 
 
 

さて…

そんなさりげなく歴史の深い町、大和郡山で観光資源として最も目をひくのは、やはり郡山城だろうか。

 

奈良時代はこの地は薬園だったらしいが、大阪や京都へも近いこともあり次第に軍事や政治の要衝となったようだ。
戦国時代になると明智光秀や藤堂高虎らが平山城の建設に携わり、最終的に織田信長の庇護を受け大和支配を成した筒井順慶が城を築き、この地に繁栄をもたらしたというのが大筋だろうか。
豊臣の時代には秀吉の弟である秀長が筒井家の後を引き継ぎ、この町を更に発展させることになる。
(以前に奈良のきたまちエリアの町歩きで少し書いた多聞城の松永久秀と、筒井順慶・織田信長の関わりあいの逸話はかなり興味深いので、いずれまた是非ここでも語りたいと思っている。)

 
 

というわけで、神社仏閣に比べると城などのイメージはあまりないであろう奈良県下において、最も城下町としての色合いを残しているのがここ大和郡山なのだ。
(あぁ、そのあたりからも多聞城の話をしたい… しかし長くなる… いや、待て既にかなり長くなってきてるぞ…)

 

そしてやはりそういう町には必ずかつて華々しかった歓楽街の遺構が存在する。

 
 

奈良には三大遊郭と呼ばれる場所がある。

ひとつは以前にも紹介した奈良町界隈にある 「木辻遊郭」⇒ 『日本最古の遊郭と出来たてのビールを満喫する

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そして、ここ大和郡山にある 「洞泉寺遊郭」「東岡遊郭」

そう、この界隈だけで三大遊郭のうちのふたつを占めるという一大花街だったのだ。

 

洞泉寺遊郭の方は一応中心地近くにあるので辺りを通ったことは幾度かはあるが、東岡遊郭は実は散策したことがなかった。
どうやら歓楽街の規模としては東岡遊郭の方が少し大きかったらしい。

 

さらに、洞泉寺遊郭の貴重な建物が今年から一般公開されていたという衝撃の事実を最近知り、それが俺を突き動かす大きな要因となっていたのだ。

 
 

というわけで、いざかつての歓楽街へ!

 
 

の、前に

 

久々に郡山城にも寄ってみた。

 

郡山城の入り口までは、近鉄郡山駅からなら徒歩7,8分、JR郡山駅からなら15分といったところだろうか。

 

Img_8805

近鉄線の踏切を越えるともうそこは城内。

 

とはいえ、郡山城は内堀、中堀、外堀という三重の堀に囲まれた惣堀の構えを持ち、この中に城郭の中心部や武家地、城下町が配置されていた。
つまり公園化されている現存の郡山城跡は内堀界隈のみの中心部、ということになる。

 

Img_8806

ゆるやかな坂を少し登ると道が二手に別れる。

 

Img_8806_2

左の方がメインストリートのように思えるが、ここは右の細い道を進んでみよう。

 

Img_8808

左手側には堀が続いている。

 

Img_8809

100mほど歩くと追手向櫓が見えてきて、何やら城内にいるらしき雰囲気が増してくる。

 

Img_88101

突き当りの右手奥には追手東隅櫓が見え、手前には AUM Sweet AUM という古民家のインド料理店がある。
20歳くらいの頃には何度か行ったのだが、広く開放的な古民家でインド料理をいただいていると御主人が庭で演奏してくれたり、とても素敵なお店だった。
もう時間も空間も超越するような不思議なのどかさは心に沁みるものがある。
また改めて行かねば。

 

その突き当りを左に折れると…

 

Img_8813

さきほど見えていた追手向櫓追手門が現れる。

 

Img_8814

追手門をくぐり中に入ってみよう。
入城料なども必要ない。

 

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少し先には天守跡が見える。

何年か前までは本当にただの石垣が積まれただけの荒れた天守跡だったのだが、崩落の恐れがあったために石垣の修復と整備を4年をかけて実施し、昨年春に天守台展望施設として完成した。

 

Img_8848

ちなみに元々はこんな感じ。
長い歴史の中で自然に風化したこの有様も好きだったのだが…

 

さて、天守跡は後ほど登るとして、先に見たかったのはコチラ。

 

Img_8817

城址会館

旧奈良県立図書館である。

 

Img_8819

明治41年に奈良県最初の県立図書館として奈良公園内に建てられ、昭和43年に郡山城内に移築。
木造二階建、入母屋造、千鳥破風付きの主棟と、その両側に平屋建、切妻造の翼部を配した左右対称の構成をとった近代和風建築。

この文言はどこかでも見たことがある。
そう、春日大社参道脇に存在感たっぷりに佇む仏教美術資料研究センター(旧奈良県物産陳列所)に近しいものがある。
ここが土日のみ16時まで一階ホールを見学できるということで、先々の予定を見るにもう土日の昼間に行ける日はなかなかないな… と作業を途中で止めて駆けつけたのだ。
城内は何度か訪れたことはあるが、中には入ったことがない。

 

Img_8821

16時まではあと30分ほどあったのだが、既に電気も消され、何やら窓を閉める音などがしている。
早じまいか……

たしかに桜の季節のお城祭りのとき以外はあまり観光客が来る場所でもない。
日曜だけど、あいにくの曇り空で、もう夕方近くだ。
そういえば、まだ自分以外に人を見ていない。

 

一応、声をかけてみようと思ったら、管理人さんらしき方が来て下さった。

もう片付けているなら遠慮しようとは思っていったのだが、一階くらいなら見ていっていいですよ、と電気をつけてくれた。
特にもう見るものはないけどね、と部屋の端に飾られた解説パネルと模型を差して、何か申し訳なさそうに言われていたのだが…

自分にとっては “何か” を見たいわけじゃなく、その空気や匂いを感じて時代を越えてみたいだけなのだ。
それだけでもう十分。

 

Img_8822

当時を偲ばせるこういった扉などを見れるだけでも興奮する。

 

知らなかったのだが、現在は不登校児などの学校として平日は使用されており、それで土日だけ見学できることになっているらしい。
本当に古い古い建物で便利な設備があるわけではないが、現代においてこんな貴重な建造物で何かを感じながら学べるというのは、かえって素晴らしい思い出をすべての知覚を通して残せるのではないだろうか。

そういった子供たちが将来、不登校からここに来ることになったことはむしろラッキーなことだった、と思えると良いな。
 

そんなことを思いながら、長い歴史が培った匂いを嗅いでいた。

 

その後、天守の話なども少し聞かせていただいて、早速その展望台へ向かう。

 

Img_8825

途中、少し雨が降ってきていたが、まったく風情を損なうことはない。
むしろ、とてもマッチしている。

 

Img_8826

城内にある柳沢文庫

1724年に柳沢吉里が19代城主となりそれ以降は柳沢家が郡山城を治めることになるのだが、昭和に入り郷土の子弟教育のさらなる発展を願う有志と柳澤保承の発意によって地方史誌専門図書館として開設された。
柳澤家歴代藩主の書画や和歌、俳句などの作品古文書、奈良県内および柳澤家関連地域の自治体史・歴史・文学系を中心とした一般書を所蔵し一般公開されている。

 

Img_8830

そして堀を渡り、小さな門をくぐると…

 

Img_8832

柳澤神社があり、その裏手に周ると

 

Img_8833

天守台が見えてくる。

おぉ… たしかに荒れ地だったのが綺麗に整備されている。

 

Img_8835

崩落の危険があった石垣も修復したようだ。

 

よーーし、誰もいない天守跡から奈良を一人占めだ!

 
 
 

ゲリラ豪雨。

 
 
 

Img_8841

一人占めどころではない。

 

しかし、一人占めしてやる。

 
 

Img_8846

写真ではわからないが、ここからは郡山はおろか奈良市も一望できる。
少し北には薬師寺の塔が見える。

 

それより、すぐ手前の北側の堀沿いのS字の道の方が思い出深い。

 

車の免許を取ってまだ間もない10代の末の頃に横転事故を起こして車をオシャカにした所だ。

 
 

生きてて良かった。

 
 

そんな物思いに耽ったりもしていたのだが、どうにもこうにも雨が凄まじすぎる。

無念だが… と天守台を下りた瞬間に小康状態に。

 

何だよ何だよ、作業を途中で放棄してきたからお叱りを受けたのか??
どちらさん? 筒井さん? 豊臣さん? 本多さん? 柳沢さん?

 
 

それはさておき、この天守台の石垣には興味深いものがある。
興味深いというと些か不謹慎な気もしてしまうが…

 

Img_8842

さかさ地蔵

 

見えるだろうか?

 

お地蔵さんが逆さに突っ込まれて石垣のひとつとして使用されているのだ。

 

Img_8843

 

戦国の世、石材不足のために羅城門跡から運ばれた礎石や、信仰の対象である石地蔵さんまでもが転用石として使用された。
そしてこうして、石垣に組み込まれたまま城下の人々により祀られてきたらしい。

荒れていた頃はさりげなく生活の中に根付いている感じがしてよりインパクトが強かったが、こうして整備して紹介されているのも悪くはない。

 

1580年頃の筒井順慶の時代には望楼型三重の天守が
豊臣秀保の時代には高さ約15~20m、五重六階または五重五階の見事な二代目天守が築かれていたらしい。

天守はさかさ地蔵の祟りや大和大地震で倒壊したという俗説が残っているようだが、実は筒井時代のものは伊賀上野城に移築、豊臣時代のものは二条城、更に淀城へ移築された話が事実としてわかった。

 
 

さて

 
 

奈良三大遊郭のふたつを紹介したいがために書き始めた今回の大和郡山探訪であるが…

郡山城だけでかなり長くなってしまった。

 

城下町から二つの遊郭を巡る町歩きの続きは、明日以降にさせていただこうと思います。

 
 

ちなみに、ここ大和郡山にはNolenNiu-de-Ossiとしての縁ももちろん様々ある。

 

1stアルバム『くぎ』 のピアノはこの城のすぐ近くのスタジオで録った。

 

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近鉄郡山駅前の商店街にある老舗の薬局 『ムラオ全快堂』さん。

 

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2ndアルバム 『日常の中の非日常』 リリースツアー時のポスターやフライヤーの写真はここで撮影させてもらった。

 

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その隣にある aran cafe でライブをしたのは… えっ、もう5年も前のことなのか…

 
 

そんな、NolenNiu-de-Ossiは 本日で9周年。

 

2009年9月10日 『座興』 at umeda AKASO (現名称 TRAD)

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9年前のこの日がNolenNiu-de-Ossiの公式デビューライブでした。

あれから早くも9年。 数々の出会いがありました。
応援いただいている皆さんに改めて深い感謝を。

 

Photodeossi_2

 

本当にありがとうございます。

 

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Atsuosuka

エミテム&デ・オッシの!
『アツオスカ・イヤコラ=スズシオス』
 

■9月14日(金) 高松 RUFFHOUSE
■9月15日(土) 岡山 MO:GLA
■9月16日(日) 大阪大正 サレガマ ~満席となりました~

詳細・前売予約

 

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Eden3

柴草玲×ミーワムーラ×NolenNiu-de-Ossi
『エデンのもうちょい東』 Season3

 
■9月23日(日) 大阪 雲州堂
■9月28日(金) 東京 HEAVEN青山
■9月29日(土) 福島県いわき バロウズ

詳細・前売予約

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■10月13日(土) 名古屋 Bar Strega
 ストレガ14周年記念スペシャルライブ!
 NolenNiu-de-Ossi×よしこストンペア
■10月27日(土) 山梨 Studio天空馬
 With/ Komes,ピヨピヨクラブ
■10月28日(日) 東京 中目黒 FJ's
 ノレンニゥー・デ・オッシ×ミチルンサトコ

 
 
Mahosp2018

■11月4日(日) 大阪 雲州堂
 NolenNiu-de-Ossiワンマン
 ~まほろば楽座Special~

 開場18:00 開演19:00
 終演21:30予定
 前売2500円 当日3000円(Drink等別途)

● まほろば楽座セルフカバーアルバム 限定枚数 販売予定!
● まほろば楽座時代の写真展示予定!

≫≫≫ 前売予約はコチラにて ≪≪≪

※手違いを防ぐためにコチラのフォームでのご予約をお願いします。

  残席少なくなって参りました。
満席になり次第、予約受付を終了します。
     どうぞお早めに!

 
Hanahaku2018
 

■11月22日(木) 京都 Live Spot RAG
 花田えみ音楽博覧会2018
 ~Happy 12days live in RAG~

 

Bluenote201811

■11月23日(金祝) 奈良 ブルーノートならまち

 NolenNiu-de-Ossiワンマン
 開場15:00 開演16:00
 予約2000円(Drink等別)

 ご予約

 
Dingdong2018

昨年も大好評だったクリスマスムードあふれまくる、幸福な夜のワンマン。

■12月22日(土) 大阪 雲州堂
 NolenNiu-de-Ossiワンマン
 クリスマス・スペシャル
 『ディンドン・デ・オッシ』

 開場18:00 開演19:00
 終演21:30予定
 前売2500円 当日3000円(Drink等別)

 ご予約

 

その他、詳しくは Website にて

   

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