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2020年2月14日 (金)

多武峰で歴史の悪戯に想いを馳せる -中編-

さて、昨夜の続きである。
 
奈良の吉野の手前にある多武峰 (とうのみね) の麓付近で、一時間に一本あるかないかのバスを待っていた。
聖林寺の見事な仏さまも堪能でき、原風景とも言えるような静かな農村地帯も散策し、美味しい地酒も少しチャージできた。
 
途中、声をかけてくれた男性はこれから安倍文殊院まで歩いて行くという。
それも悪くないな、とは思ったが、バスの到着までには小一時間ほど。
安倍文殊院までは片道20分少々はかかりそうだ。
ゆっくりと参拝できなさそうだし、そちらは諦めて、何か空腹を満たす策を講じてみた。
 
しかしいかんせん、この辺りには食堂らしきものが一軒も見当たらない。
思い当たるのは、聖林寺のバス停のひとつ手前の浅古停留所あたりで見えたコンビニくらいだ。
空腹に耐えることはいくらでもできるのだが、時間も微妙に持て余しているし、何か軽く口にすることにした。
そういえば、そのコンビニの先にプレハブの小さなお店も見えたな。
 
 
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というわけで、「たこ焼おーちゃん」 でたこ焼きとから揚げを注文。
お腹がすいていたので、から揚げ(小)とたこ焼き(中)を頼んだのだが…
 
えっ、こんなにボリュームあるの!?
たこ焼きもから揚げもデカッ!
ほんで、なにこれ、めっちゃ美味い…!
やすっ!!
 
と、興奮しながら立ち食い。
(座れるようなところがなかった。雨上がりだったしね。)
 
 
予想外に空腹を満たせたところで、すぐ横のバス停留所へ。
 
 
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まだ10分ほどの余裕があったので、目の前の八坂神社に参詣。
このあたりは林業が盛んなのだが、杉の巨木などがそこかしこで天を貫いているのを見ることができる。
 
 
そして、無事にバスに乗り込み、多武峰をどんどんと登っていく。
だんだんと人里離れた山道に入っていき、10分少々で辿り着いたのが
 
 
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談山神社 (たんざんじんじゃ)
 
多武峰にある 談山 (かたらいやま) とも呼ばれる山にあり、その名称は共に、“ある有名な歴史的トピック” から名付けられている。
 
 
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祭神は藤原鎌足 (中臣鎌足)。
日本の歴史における最も有力な氏族となった 「藤原氏」 の始祖である。
 
そして、最も有名なのは 乙巳の変 (いっしのへん)
 
飛鳥時代の645年、中大兄皇子と鎌足が飛鳥板蓋宮で当時政権を握っていた蘇我入鹿の首をはね、蘇我氏を滅亡に追い込んだ政変。
その後の改革も含め 「大化の改新」 と呼ばれる、いわゆるクーデターである。
 
その密談をこの多武峰にて行い、後に 談い山 (かたらいやま) 談所ヶ森 (だんじょのもり) と呼ばれることになった、というのだから実に興味深い。
 
この山道を更に進んで、反対側へ出ると、ちょうど飛鳥の石舞台古墳に辿り着く。
まさに蘇我氏の拠点の近くで密やかな計画が練られていたというわけだ。
 
 
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前回の -前編- でも少し触れたが、この多武峰は山の名称であり、そしてその一帯にあった寺院のことを指す。
しかし、ここは談山神社” である。
 
そう、またしても明治初めの神仏分離令により廃された元・寺院。
僧徒は還俗させられ、談山神社と改称、別格官幣社 (国家に功績を挙げた忠臣や、国家のために亡くなった人物などを祭神として祀る神社のための近代社格制度) となったそうだ。
 
 
鎌足の死後の678年、長男で僧の定恵が唐からの帰国後に、父の墓を摂津から大和のこの地に移し、十三重塔を造立したのが発祥とのこと。
その二年後に講堂 (現在の拝殿) が創建され、そこを妙楽寺としたそうな。
「多武峰」 という名称はその一帯にあった寺院のことも指す、という通り、麓の聖林寺も妙楽寺の別院として定恵が創建したと伝承されている。
 
廃仏毀釈の折にも、十三重塔をはじめとする建築物は寺院様式をそのまま残されているので、まさに神仏習合といった趣き。
仏像はどこへ行ったか… というのは、おもしろいところに繋がったので… また後ほど。
ちなみに唯一、如意輪観音像一体だけが談山神社に残されている。
非公開の秘仏だが、毎年6月1日~7月31日の二ヶ月だけ特別公開される。
 
 
さぁ、それでは、久々に境内に足を踏み入れてみよう。
 
 
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まさに寺院の様相。
特に十三重塔のインパクトが強い。
 
右手には新廟拝所。(元は妙楽寺の講堂)
中に入って鎌足像や、運慶の作とされる見事な狛犬などを見ることができる。
写ってはいないがその向かいの左手に総社本殿と拝殿がある。
 
正面の石段の上にあるのは権殿。(元は常行堂)
芸能の神であるマダラ神を祀っていることからここで舞や能が演じられていたそうで、歌謡・音楽・舞踊など芸能に関するご利益があるとされている。
 
 
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その左手には比叡神社といくつかの末社。
稲荷神社もあったのでご挨拶。
 
 
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右手方向に行くと、さきほども見えていた十三重塔。
現在のものは室町時代の再建。
木造十三重塔としては、世界唯一のもの。
 
そして、その先に…
 
 
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更なる石段の上に、本殿へ続く楼門が見える。
 
 
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この楼門は舞台造の拝殿と繋がっている。
 
 
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拝殿の回廊からは境内、および辺りを一望することができる。
 
 
しかも、なんと本殿も拝殿も 「写真撮影可」 ということで、少し撮らせていただくことに。
 
 
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広く気持ちの良い拝殿。
鎌足公の誕生から大化改新の談合、蘇我入鹿暗殺などを描いた江戸時代の絵巻など、談山神社にまつわる様々な展示物も見ることができる。
 
 
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拝殿から望める多武峰の景色がこれまた風情ありすぎ。
 
 
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そして、本殿
 
 
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朱塗りで極彩色の装飾。
日光東照宮の見本とされたと伝わっている。
 
このあたりは南北朝時代、戦国時代には戦乱に巻き込まれた土地。
1506年には大和に侵攻した赤沢朝経に対して、大和国人一揆が起こった。
その際に妙楽寺、つまり現在の談山神社の前身となる寺院が焼かれてしまったらしい。
この赤沢朝経は妙楽寺だけでなく、法華寺、菩提山正暦寺なども焼いて広く大和一帯の寺社勢力をも平定。
 
その後も 「多武峰合戦」 と呼ばれる抵抗戦が多武峰・妙楽寺・冬野城一帯で起きたのだが、そのときの相手が…
 
松永久秀 (また登場したねぇ…)
 
 
そののちに、豊臣秀吉により郡山城下に寺を移すことを厳命され、妙楽寺は破却。
しかしその五年後には帰山を許され、更にのちに徳川家康により復興。
それが日光東照宮の建造にまで繋がるようだ。
 
 
1370年前の中臣鎌足の時代にはクーデターの拠点となり、
南北朝時代には反幕府の拠点とされ、
戦国時代には更なる戦乱に巻き込まれた末に、権力者たちの意向に左右された上に、
最終的に、明治新政府により廃寺とされ、別格官幣社に改めさせられる。
 
何とも長い長い歳月、ずっと数奇な運命に翻弄され続けた、まさに “歴史の悪戯に想いを馳せざるを得ない処” である。
 
 
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この途中で二つに分かれている見事な巨木は、どれくらいの歳月をここで過ごしてきたのだろう。
様々な歴史を目の当たりにしたのかもしれないな。
 
そんなことを想っているうちに滞在一時間半が経過し、バス到着の時間が近づいてきていた。
それを逃すと、また一時間後となってしまう。
急いで停留所まで向かい、何とか無事に乗車。
 
 
まだ時間には余裕がある。
ふと思うところあって、桜井界隈でもう一、二ヵ所立ち寄っていくことにした。
 
 
これまた長い長い歴史を感じるものばかりで、新たに知ったことも多く、濃厚な散策となった。
 
聖徳太子安倍晴明、そしてまた松永久秀
 
そんな興味深い人物たちの足跡をもう少し追ってみたい。
 
 
言いたい…
 
早く言いたい…
 
 
しかし、今回 -後編- として締めるつもりだったのだが、これまた随分と長くなってしまったので…
-中編- としてまたひとつ区切らせてもらおうと思う。
 
 
もはや、自分は何を生業としているのか、よくわからなくなってきてはいる。
 
 

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20204
 
■4月2日(木) 大阪 雲州堂
 IORhythm 〜イオリズム〜
 デ・オッシ × Gato Libre ツーマン
 開場18:30 開演19:30
 入場無料・投げ銭制(要1オーダー)
 
雲州堂 Website
 
久々の雲州堂での投げ銭イベント。
世界各地で活躍されている変則的編成で無国籍的なオリジナル曲バンド、ガトーリブレ。
NYでのご縁から繋がった大御所の皆さんとご一緒させてもらいます。
是非どうぞお誘いあわせの上、お気軽にお越しください。
ご予定どうぞよろしくお願いします。

 
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Fiesta2
 
■4月15日(水) umeda TRAD

 デ・オッシ presents
  フィエスタ・デ・縁日 [弐]

 開場18:00 開演19:00
 前売2500円 当日3000円(Drink別)

【ライブ】
デ・オッシ
高橋てつや
吉本篤央

【Food】
タルタルクラブ

【Shop】
idea of a joke(カチューシャ,植物ハットなど)
キミトラ土器(フィギュア)
上善如水(琥珀糖)
 
 ご予約はコチラにて
 
心に響く歌と演奏を繰り広げる 【ステージライブ】 には、超オススメなゲストを迎えます。
美味しくて幸せになる 【タルタルクラブ】 のお料理は新たなメニューも!
楽しくて賑やかでおもしろい 【ショップブース】 には、パワーアップした idea of a joke と キミトラ土器 に、素敵な琥珀糖の “上善如水” さんも加わり更に賑やか!
 
開演から終演まで
● 余すところなく楽しんでもらえるような一夜 ●
にしたいと思っています!

 

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