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2024年5月 9日 (木)

アルバム『開闢の日』楽曲解説 其の壱

先日、5月4日に四年ぶりとなる New Album 『開闢の日』 をリリースしました。
当日のワンマン at 雲州堂でご購入くださった皆さん、各種オンラインショップでお求めになってくださった皆さん、ありがとうございます。
 
当然ながら今のデ・オッシを表した一枚。
これまでの集大成でもあり、コロナ禍を経て生まれた曲たちを様々な想いと共に刻み込んだ、未来永劫二度と来ない2024年の我々の存在の記録です。
 
理屈有りでも抜きでも、楽しんでもらえていたら何も言うことはございませんが、あえて野暮は承知で楽曲解説などをしてみようかと思います。
ライブなどでは曲紹介としてMCでお話しすることはあるけれど、なかなかこういった形でわざわざ書き残すこともこういうタイミングでしかないかと思いますので。
 
アルバムを聴いて関心を持っていただけてたら、+αのおつまみ程度にご覧いただけると幸いです。
 
今回のこの 『開闢の日』 に収録したのはすべてここ三年ほど、つまりコロナ問題が勃発して以降に発表した若い曲たち。
昨年は毎月新曲を出すという公約もしていたので、その中から5曲選出しました。(以外にもそれだけだったんだね!)
でもどれも既に思い出深い、それぞれの時期のことが鮮明に甦るものばかりです。
 
それでは、そんな曲たちが生まれた背景や秘話を少しだけ…
 
 
 
1. 蓮の夢
 
この曲を発表したのはたしか、2022年10月16日 奈良 EVANS CASTLE HALL での デ・オッシ ワンマン『奈良にくぎづけ』 Epic day 2022
 
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この日は5曲ほど新曲を発表したのよね。
「蓮の夢」 は二部の冒頭で、パンチブラザーズのように、漫才マイクで有名なSONYのサンパチ1本を立てて歌い奏でるスタイルのコーナーでお披露目。
 
でも、実はこの曲の原型はその更に3,4年前に生まれてたんです。
本来はこの写真で自分が弾いてるルーマニア産のミニクラシックギターをとるこさんに弾いてもらい、自分自身はいつものフラメンコ or クラシックギターを弾くという目論見でした。
ギター経験 (が全くないわけではないけど、ほぼ弾けない) とるこさんでも頑張れば弾けるかも、というシンプルなフレーズで、ケルト的な、あるいはブリティッシュトラッド的なものを、というのが当初のアイデア。
でもそれぞれの担当楽器でもまだまだ探求し切磋琢磨したいのが実情。
あえてそこにトライするというのは、願望はあってもなかなか気持ちも時間も追いつかない。
そんな中で忘れ去られそうになっていたこの曲。
じゃ、ま、そんな特殊編成はさておき、この曲を形にしてみましょうか、となったのがそのワンマンの直前のことでした。
 
それから何故こういった歌詞に、景色に繋がったのかはあまり仔細には覚えてはないんだけど
歌詞を練る際にこの曲を聴いていたら、グレートブリテン島じゃなく、懐かしのフラッシュ画像的な安めの映像のイメージで原色の仏さんが浮かび上がって回りだしたのよね。
もう羊が草を食む草原は消え失せ、脳内は西方浄土。
ここが極楽か、というような景色。
ここから生れ落ち、またここに帰ってくるのを待つ。
 
いつの間にやら、アルバムの一曲目に相応しいのでは、と思わされる曲となっておりました。
 
 
 
2. イチム コウヌ グートウニ アラシタボレ
 
現時点でのデ・オッシの最新曲。
毎月新曲を発表した昨年2023年の最後、12月の新曲でした。
 
その月の初旬にスティーヴ エトウさんと本夛マキちゃんと数日間の幸福な奄美ツアーを終え、あまりに心を揺さぶる日々だったため、帰宅後の奄美ロスが思いのほか激しく…
二日後かそのあたりにもう生まれてしまった曲でした。
 
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こういう全くもって偽りのない、創作でもない、素直な気持ちを刻み込める曲というのは、計算して目論んで生み出せるものではない。
そういう意味で、自分自身とても愛おしい曲です。
 
タイトルの意味は 「いつも今日のようにあってほしい」。
古い奄美の方言のようです。
 
これは奄美に数日滞在したことで感じられた島の人たちの気質や温かさから、得心できたこと。
 
いつも今日のようにあってほしい」 って思えることって、どれだけ素晴らしいことなのか…
 
 
そう思える日々を毎日送れてますか?
 
 
何か豊かなものを得たいと願っているのに、むしろ失っていくことに疲弊する日々

なんてものに慣れてしまってないですか?
 
 
そんな矛盾に気付かさせてくれて、本当に大切なものを見付けさせてくれる場所。
それが奄美なのかもしれません。
 
 
でも、それはもしかしたら…
自分が生まれ育った 「奈良」 という地も、そうなのかもしれない。
 
 
そんなことも客観的に感じられた日々の、豊かで、愛おしい感情を、抜け落ちていかないうちに書き留めた一曲です。
 
 
 
3. たそがれ
 
ここ数年のデ・オッシの名刺代わりになりつつある曲のひとつではあると思っています。
初めてお披露目したのはたしか、2022年9月3日 奈良市 音声館 での デ・オッシの夏おさめコンサート「日常の中の非日常を再び」
 
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う~~~む、もはや生まれた経緯とかは一切思い出せないくらい自然に生まれ、そして完成した一曲だったんだと思う。
概してそういう曲こそが代表曲となる可能性があり、その後も歌い続ける曲に成り得るんだろうね。
 
大昔の 「石段の途中」 も一瞬だったし、コロナ禍初年度の一番厳しい時期だったからこそ思い出深くはあるけど、「虹祭 ~にじまつり~」 とかも何か不思議な力に導かれるようにあっという間に曲も歌詞も降りてきたような記憶がある。
でも、そこには “楽に創作できた” というような感覚はなく、むしろ普段どうしても目的遂行意識をもって、ある意味では計算高く頑張ろうとしてしまう己の中の何かが緩んで、素直に心の赴くままに進めていたら、気がつけばこんな曲ができてました、みたいな記憶。
そういう曲はやはり聞いてくれた方々の反応も顕著で、とてもじゃないけれど自分の力だけでこの世に出させてもらえたものではないような気がしてしまう。
 
ま、そんな想いもありつつ、とりあえず10年前にでも書けなかったことだろうな、という気持ちは今の自分ならではのもの。
この歳だからそっと語りたい、そんな本音の裸の自分の歌でもあります。
 
 
 
4. ヨイヤミ讃歌
 
ひとつ前の 「たそがれ」 と併せ、ライブで演らせてもらうと終演後に問い合わせをいただくことが断トツだった二曲のうちのひとつ。
でも実は原曲ははるか昔、前身バンドのマホロバガクザの、非常に厳しい過渡期に生まれたもの。
心身ともに辛い時期だったこともあってか、ほんの数回だけライブで演って以降、まるで存在しなかったかのように忘れ去ろうとしていた曲かもしれない(笑)。
それをまるで我々を説得するかのように、幾度となく復活のリクエストをくださっていた20年来の方の熱意に押され、昨年末にウン年の歳月を経てリニューアルリリース。
2022年末の恒例クリスマスワンマン 『ディンドン・デ・オッシ』 でしたね。
 
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当時とは使用楽器もアプローチも変わってはいるけれど、基本的な内容はそのまま。
しかし、まったく別の曲のように生まれ変わりました。
歌詞なども当時は自分自身あまり納得いってなかった記憶があるのですが、それから数年を経て音楽的なアプローチを変えられることができたからなのか、何故か違和感なくすべてがフィットするというような、まるで知らない他の人が書いた素敵な詞のように捉えることができるようになっていました。
 
厳しい過渡期というのも、何かしら人間をある種の極限に追いやることで、その人間の本質的なところを絞り出す作用があるのかもしれませんね。
なんてことを、過去のことだからと他人事のように客観的に見られている、そんな自分たち自身にとっても不思議な存在の曲です。
 
 
 
5. 梅か桜か、元の木阿弥
 
昨年の毎月新曲を発表する、という公約は誰に強いられたものでもなく、自分たちが勝手に決めたこと。
もちろん、それにはそれなりの自信と可能性を感じていたからこそ、やりましょか、となったわけだけど
とはいえ、やはりそう気楽で安易なものでもないのは当然のこと。
 
たった一人の人の心も動かさない、どうでも良い音楽を生み出すことは、自分たち自身としては許されることではない。
毎月発表してきたすべての曲が 「私たちの曲です」 と胸を張って言えるものにはできたと自負している。 
そんな一年のまだまだ初めの頃、昨年の三月に発表したのがこの 「梅か桜か、元の木阿弥」。
 
ちょうど、その少し後の五月に奈良は大和郡山の旧遊郭 「町家物語館」 での特別なワンマンを控えていることもあり
その大和郡山市にある、日頃からよくお詣りして懇意にしていただいている源九郎稲荷神社さんに伝わる興味深い逸話やわらべうたから着想を得て、またその界隈が古くから長らく歓楽街であったことでその遊郭での悲喜交交な営みに想いを馳せ、ひとつの物語を想像して形にしたものがこの曲。
 
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音楽的には、華やかさと奇妙さ、現世の人間と物ノ怪が混在するようなものになり、デ・オッシにしか生み出せないものになったのではないかと思っています。
ちなみに収録している鈴の音は、源九郎稲荷さんの神楽鈴によるものです。
 
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さて…
 
 
まだ半分にも至ってないか。
 
 
ここは根詰めずに、ゆるやかにいきませうか(笑)。

残り 7曲 ですが、続きはまた明日以降にでも。
 
 
 
 
そんな New Album 「開闢の日」
 
 公式Online Shop「ドドイツ」
 楽天
 Amazon.co.jp
 
または、各ライブ会場にてお求めいただけます。
豪華16pブックレット付、紙ジャケット仕様。 限定枚数。
ぜひ、お手にとって、ゆっくりじっくり味わってください。
 
 
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「開闢の日」 リリースツアー
 
■5月16日(木) 千葉 柏 Studio WUU
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■5月17日(金) 東京 STAX FRED
  ≫ 詳細・予約
■5月18日(土) 静岡 UHU
 丸山研二郎&原口朋丈 × デ・オッシ
  ≫ 詳細・予約
■5月20日(月) 名古屋 BAR Strega
 デ・オッシ × ときにきく
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■6月1日(土) 奈良 a_s art_scene(松前旅館)
 デ・オッシ 生音ワンマン
  ≫ 詳細・予約
■6月15日(土) 滋賀 bochi bochi
 ハナツムギ × デ・オッシ
 『三弦と白黒のからくり唄紡ぎ』vol.5
  ≫ 詳細・予約
■6月16日(日) 大阪 京橋 BAR HEAVENSKITCHEN BOOST
  ≫ 詳細・予約
■6月28日(金) 新松戸 FIREBIRD
     詳細未定
■6月29日(土) 東京 泪橋ホール
  ≫ 詳細・予約
 

 

New Album 『開闢の日』 Trailer

 

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